君が、イチバン。
家に帰る車の中で携帯が鳴る。
深夜0時を過ぎて、この時間帯に連絡がくるのなんて一人しか思いつかない。
「はい?」
「あ、しいちゃん?仕事終わった?」
瑛ちゃんだ。少し語尾が上がるこの話し方は大体酔ってる時。
「終わったよ」
「じゃあついでに迎えにきて」
瑛ちゃんは時間帯に合わないテンションの高い口調で言った。
瑛ちゃんは私より三つ年上で人気のあるメンズバーで働いてる。穏やかで優しくて、甘やかし方を知ってる人だ。
過去に色々あって身体の関係もあるけど、そうゆうんじゃなくて瑛ちゃんと一緒にいるのはすごく楽。お兄ちゃんみたい、と言ったら変だけど。
「はいはい。店にいるの?今から行くから」
私は車を瑛ちゃんの勤めるバーに走らせた。