君が、イチバン。

こうして瑛ちゃんと向き合うなんて、今まで何の違和感もなかったのに、今は気まずい。逃げ出したいような、だけどこの瞳に映っていたいような、複雑な感情が渦まいて、めちゃくちゃだ。

「しいちゃん、どうしたの？何か言いたい事があるなら言って？」

瑛ちゃんが冷たい指先で私の目元に触れる。


「…私、瑛ちゃんの事何も知らない」

やっと絞り出した言葉は何の脈絡もなくて、何言ってんだと、自分でも思う。

「店、したいって聞いて勝手に動揺して、瑛ちゃん優しいから私なんてずっと甘えてるのに何も返してないって気付いて。もしかしたら大切な人がいるかもしれないのに、何やってんだろとか思っちゃって、」


自分の気持ちを言葉にするって難しくて、大事な時に上手く出てこなくて、恥ずかしいし、かっこ悪い。

「寂しくて、ごめん、」

何言ってるのか自分でも分からなくなって、言いたい事が言えないもどかしさに、唇を噛む。

瑛ちゃんが息を飲むのが分かった。