君が、イチバン。
―――――――…
「…眠い」
瑛ちゃんの一人暮らしのアパートに着くと彼はフラフラしながらベッドに倒れこんだ。
お酒は強い人だから今日は飲みすぎたんだろう。普段はカウンターを挟んで会話するだけらしいけど、たまにこうして一緒に飲む時があるらしい。
「服くらい着替えなよー」
私は寝転がる彼のジーパンのボタンを外すとそのまま裾を引っ張って脱がせた。
瑛ちゃんはクスクス笑いながら
「しいちゃん、大胆っ」
とキャッキャ言っている。私は構わず上着も脱がせてやっとシャツ一枚になった瑛ちゃんに「もう寝ていいよ、おやすみ」と布団を放り投げた。
瑛ちゃんはシャワーを浴びるか、それが出来ない程酔っ払った時は服のまま寝るのが嫌いだからこれをしないと眠らないのだ。全く手のかかる男である。
「…しいちゃん、こっちおいで」
瑛ちゃんが私を引き寄せる。
埋めた胸は煙草と香水の香り。瑛ちゃんは煙草は吸わないから店の匂いなんだろう。香水の匂いは瑛ちゃんは嫌いだと言っていたけど、残り香がする程、誰かと密着していたのは確かなんだろうな。
広い胸から聞こえる規則的な鼓動は優しい。
私は猫の様に瑛ちゃんの胸から起き上がるとそのまま彼の唇を優しく噛んだ。
「…くすぐったい」
瑛ちゃんの声は低くて心地いい。私の背中にそのまま瑛ちゃんは手を回すと、軽くキスをしてから滑らかな舌を入れた。
淫乱タイムの始まりである。
瑛ちゃんとのキスは好きだ。
甘くて上手。
絡まる舌先が段々激しくなって、瑛ちゃんは回した手で器用に服の上からブラのホックを外す。そのまま肌に入る右手は冷たくてゾクリとした。
体は時にコトバより正直なものです。