君が、イチバン。

君が。

◆◆◆



それからーーー

季節はゆっくり変わって暖かい日差しが優しい春になった。


瑛ちゃんは夜の仕事をあれからすぐに辞めて、今は夏に和食メインの料理店をオープンさせるのに忙しい。
私は相変わらずLaiにいるけれど、瑛ちゃんの店がオープンしたら一緒に手伝う事になった。勿論デザート担当させてくれるって。
すれ違う時間が嫌で同棲を始めて、店の構想とかメニューとかを二人で考えたり休みの日には他県に行って食べ歩いたり、一緒の時間は増えて、瑛ちゃんの知らない事なんて今はないと自信を持って言える。
あのベリーショートの美女はやっぱり冴草さんの友人で、瑛ちゃんは昔色々お世話になったらしい。きっと彼女は瑛ちゃんが好きなんだろうけど、もうそれはいい。

感情を自分の思い通りに操るなんて無理な話だし、私の知らない『過去』の瑛ちゃんまでほじくり返したら、多分疲れてしまう。知りたいとは思うけど、それでも、『今』の瑛ちゃんを知っていればそれで良い。




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