君が、イチバン。

「…まあそういう事もあります」

出来るだけ口調を変えず答える。

「そうですか?」

一条さんは何か考えている様子。


掴めないなー。とりあえず言いたい事は言わないと。

「あの、別にお金に困ってる訳じゃないんで」

「いや、他意はありません」

でしょうね!雑誌の弁解ですよ!だが!触れないならそれで良い!
開き直った私に、一条さんは「ああ」と今気付いた様に短く声を上げると

「中々興味深いタイトルですね。夢の内容によっては掴むのは二者択一ではないでしょう」

ばっちり見てますね!

「母の愛読書シリーズなんです」

我ながら完璧な嘘だ。

私が呟くと、一条さんはまた小さく吹き出した。

嘘ってばれたのか。ちくしょう。




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