君が、イチバン。
「四宮君?」
外車から出てきた高価であろうスーツを着こなす向坂は映画の一場面のように登場した。
「バイク?かからない感じ?」
すぐに状況を理解したのか向坂はバイクを眺める。
「今から歓迎会行くとこだった?」
「…いえ。帰るだけです」
「へぇ。じゃバイク置いといたら?送ってくから」
構わない、と言うつもりだったが向坂は半ば強制的に四宮を助手席に乗せた。
「ちょっと忘れ物取ってくるから待ってて」
向坂は軽やかな笑顔で店に入っていく。
四宮は座り心地の良すぎるシートに持たれかかってぼんやり向坂を待っていた。