君が、イチバン。

キス2

◆◆◆

「二次会いこーか」

席に戻ると丁度その話題が出て、向坂さんが「若ちゃん、勿論来るよね?俺若ちゃんと飲んでないもんね?」と流し目を送る。何も意識してないんだろうけど、美形の流し目は強力だ。そして、いつの間にか若ちゃんと呼ばれる不思議。


それから何人か二次会に流れて、四宮君も宣言通り参加した。ゆかりさんに「珍しい!」と言われて「苛々するんで」と答えていた。まだ苛々してるの⁉︎



それから、向かったダイニングバー。

あー聞いた事のある店の名前だわ。この辺でその名前を持つ店なんて一軒しかないし。
ドアを開けると、予想通り営業スマイルの瑛ちゃんが私達を迎えた。


「いらっしゃい」


瑛ちゃんがここで働いてる姿を見るのは初めてだ。
この店に入ってから私は一度も来た事なかったし。
前の仕事を知ってるから、違和感。だけど瑛ちゃんの気怠い雰囲気は夜によく合う。

「…酔ってる?」

瑛ちゃんは心地のよい声で静かに聞いた。


「うん。ちょっとね。」

「潰れても知らないよ?」

瑛ちゃんは意地悪な笑顔を向ける。これはここに来る事知ってたな。
今朝まで一緒にいた癖に一言も言わないなんて、水くさいじゃんか。

「心配しなくても大丈夫ですー」

ちょっとむかついたからわざと営業スマイルを返した。



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