君が、イチバン。
メンズバーって聞いてたけど、普通に綺麗な女の子もいる。店内はイメージと違ってスタイリッシュでお洒落だった。
瑛ちゃんは私の頭を撫でてから別のお客さんの所へ戻って行った。
私の横に座る一条さんを挟んでゆかりさんに四宮君、とらっきょさん、冴草さんがいて向坂さん、店の女の子で円を描いて座る。
向坂さんがキープのボトルを出して、それが多分一本数十万するあの有名シャンパンでおおうとテンション上がった。
「瑛太クンと知り合いなの?」
冴草さんの声は色気あるよね。演歌歌って欲しい。
「知り合い、ですね」
寝起きの顔も知ってます、とか言ってみようか。いやいや言ってどうする。
「すごく人気あるのよ。可愛いわよね。今日はラッキーだったわ、瑛太クンの出勤日じゃないのに」
「そうなんですか?」
「彼がいる時は必ず来る常連さんがいないから、多分そうじゃないかしら?瑛太クンに入れ込んでるから」
ふふふ、と笑う冴草さん。事情通だ。
「若咲さんが来るから入ったのかしら?頭を撫でられるくらいだもの、親しいのよね?」
冴草さんの妖しい瞳が好奇に色を変えた。
「いや、違うでしょー、たまたま人が足りなくて急遽、とかじゃないですか」
何も言ってなかったのそれでかもなー、そうに違いない。
「そうかもね、だけど見つかったら妬かれるわよ。彼女嫉妬深いから。あ、その常連さんとはお友達なの」
うふふ、とまた笑う冴草さん。怖い。謝るから許して。寝顔も知ってますなんて言わなくてよかった。
もうなんか二次会に来た事を早くも後悔だ。
「ちょっと、外の空気吸ってきます。」
隣にいた筈の一条さんはいつの間にかいなくて冴草さんにそう言っってから席を立った。
そうです。あの冴草さんの根掘り葉掘り聞かれそうな雰囲気から逃げたのです。瑛ちゃんめ。