君が、イチバン。
気付けば今月もあと3日になっていた。来週からはレストランに異動。正社員は基本異動しないし、岡本さんは固定のバイトだからいなくなるのはまだ全フロア勉強中の私だけ。
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「今週でカラオケも終りだな」
岡本さんは低い声で言った。
「そうですね、多分またすぐ戻ってきますけど」
私は岡本さんに笑い返す。
「もっと早く戻ってもいい。若咲がいると仕事が楽だ」
褒めてるの?岡本さんから誉められるのは初めてだから素直に嬉しい。へへ、と笑うと「笑い方が残念だ」と言われた。なぜに。
「そういえば、岡本さんは昼間何してるんですか?」
雑談していた時昼間は別の仕事をしていると言っていた気がする。私の質問に少し考える様な仕草をすると「…誰にも言うなよ」と真面目な顔をする。
頷いてからその真剣な様子にゴクリと生唾を飲むと、「…ヒーローだ」と言った。
口数は少ないけど、ユニークな人だったらしい。