君が、イチバン。
「笑ったー、やっぱ可愛いー」
心の声が口に出てしまったらしい。
「…子供扱いすんな」
あら、笑ったと思ったら今度は男の顔だ。仕方ないなー、折角はぐらかしてるのに。
「おまえ、鈍感だろ」
「違うよ」
「じゃあ、無神経だ」
「それは正解」
鈍感、ではない。そうだったら良かったけど。若いってだけで突っ走る事も、背伸びして理解ある大人ぶる事も出来ない難しい年なんだよ。お肌だって曲がり角だ。
四宮君から向けられる好意に気付かないほど馬鹿じゃない。だけど気付かないふりは出来る位には悪女だ。
「惚れんなよ、美少年」
いつか貰った言葉を冗談交じりに返す。
「少年じゃねーよ」
美、は良いのか。
「…俺、グダグダ考えるのやめるわ、だせーし」
四宮君が笑う。良い笑顔だ。
「覚悟しとけよ、椎那」
危うい色気を振り撒いて四宮君は、唇の端を上げた。