君が、イチバン。

デザートは数種類のケーキが運ばれて好きなのを選んでその場で切り分けてくれた。涙がでるくらい美味しい。


タルトをほうばると、満足して一条さんを見る。一条さんは相変わらず穏やかに微笑んでいた。

「結局、今日はなんだったんですか」

「食事ですよ」

私の質問に一条さんは一ミリも表情を変えない。

そんなの分かってるよ!


「なんで私誘われたんでしょうか」

聞き方を変えてみたが、


「若咲さんが、素晴らしい女性だからじゃないでしょうか」

馬鹿にしてるのか。もういいや、面倒くさい。


当たり前の様に一条さんが支払いを済ませて店を出る。金額は見なかった。恐ろしい、私は無になる。

「ご馳走様です」

「いえ、またお誘いするかもしれません」

やめて欲しい。心臓に悪い。顔に出てたのか一条さんはまた吹き出した。よく笑う人だ。誰かさんと対照的だな、とか思いながら、奇妙な食事会は終わった。

結局なんだったんだ。



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