オルソ
本能で体がすくみあがった。足をもつれさせながら、がむしゃらに走り出す。
背中に衝撃。わけもわからず地面に倒れる。
痛みを感じる余裕すらない。
ふたりめが、目の前に。
「貴様、何者だ」
男の怒声に、切り裂くような轟音が重なる。
「うわあああッ!」
狂ったように叫び、一太郎は長い足を繰り出した。
足払い。ふたりめが尻もちをつく。
すかさず起き上がって次の攻撃も忘れて走り出す。とにかく。
とにかくここから逃げ出さなければ。