私の兄は、アイドルです。
 



出来る限り自然に、
出来る限り当たり障りなく

出来る限り笑顔で答えた。



私……

上手く言えたよね?





「まーね、音遠はそんくらい純粋でないと!

知ってた?クラスで音遠の事狙ってる子結構いんだよ?」


「えっ!嘘だ!」



沙那がニヤニヤと笑いながら信じがたい事を言ってくるもんだから、

さすがにそれはソッコーで否定した。



だってね?

うちのクラス、可愛い子が多いからさ。


私なんてミジンコレベルの奴が狙われちゃってるっつうんなら、
私以外のクラスの女子は全員食われた後だよね!


だなんて若干生々しい事が頭をよぎりながら……




「……澪はっ?澪は好きな人、いないの?」



私は、話を澪に振った。汗。




「私……?
いるっちゃいるけど……」



マジですか!


そっかぁ、
澪好きな人いるんだぁ!
知らなかったや……



顔を真っ赤にしながら
ポツリと呟いた澪は、
友達の私から見ても
めちゃくちゃ可愛かった。




──澪は、黒髪ロングの可愛い系で。
いわゆる“お嬢様”ってやつ。

男子からの人気も高いのに、何故か彼氏はいなかった。



 
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