私の兄は、アイドルです。
 



すると




「並んでなんかいられないよ!
ナオトに会いたい!
ナオトを一目でもイィから見てみたい!」



急にテンションが上がった様子の澪に、肩をガクガクと揺らされて。




「ちょっ、苦し……!
って、え?
澪ってコンサートとか行った事無いの?」



その言葉に、首を傾げた。


ファンだし好きなら、コンサートとかイベントに行ってるはずだよね?


なのに

“一目でもイィから見てみたい”

って、どういう事だろ?




「だって……
BIG4のチケットって、めちゃくちゃ取りにくいんだもん……」


「あっ、ナルホド」



私の問に半泣きになりながら答えた澪を見て、
納得した。


そうだった。

BIG4のコンサートチケットって、なかなか入手困難な代物だったんだ!



半泣きの澪を見てると……

何だか可哀相だ……



……と思ったのは、どうやら私だけじゃないみたいで。




「よし、見に行こう!
澪!」


「そうだそうだ!せっかくのチャンスなんだし、ナオトを拝みに行こうよ!」



美夜と沙那が、笑顔で澪の手のひらを握った。




「ありがとう……」



そして嬉しそうに微笑んだ澪。



 
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