私の兄は、アイドルです。
マジかよっ!
どんだけ勘鋭いの!?
っていうか……
なんかニヤリと笑ってるんですけどっ!?
あの目、昔からなんか悪戯を企んでる時の目だ!
気持ち悪っ!
「「「えっ、なんかナオトこっち見てない!?
やだどうしよう!」」」
ナオトの視線に気付いたのか、騒ぎ出した周りのギャラリー達。
無論、澪達3人も例外じゃなくて。
「「「ねぇ音遠、どうしよう!」」」
焦ってる3人。
それもそのハズ……
……ナオトが、人混みを縫ってわざわざ私達の前までやってきたから。
ってヲイヲイ!
何してんのさ兄さん!
澪達にバレるでしょ!?
兄妹って事!
勘弁してよ……
お願いだからこっち来ないで!
私の必死の願いも虚しく……
きゃあきゃあと五月蝿いギャラリーの声の中、
お兄ちゃんが立ち止まった。
けど
立ち止まったのは……
「なぁ。そこのお嬢さん」
「はっ、はいぃぃぃ!」
……何故か、硬直しきった澪の前で。
「それ。5分だけ貸してもらえないかな?」
ニッコリ笑顔で指差すは、澪の持ってるうちわ。