私の兄は、アイドルです。
まるで、警告かのように
ドクンドクンと心臓が跳ねるけど……――
「なぁ、土産ねぇの?」
本当にマイペースで自己中なお兄ちゃんに、
少しイライラしてきた。
「はぁ!?無いに決まってるし!
お兄ちゃんも今日おんなじ場所に行ってたじゃん!」
そう言ってあしらった。
……嘘。
本当は、お土産は1日目に買ってある。
結構悩んで買った
お兄ちゃんの好きなキャラクターの、
可愛いストラップ。
けど……
だけど……
「はっ、ホント可愛い妹だよなお前はっ!
あ、ってかさ?
……今日のうちわの子、
名前なんつーの?」
「べっ、別に何だってイィでしょ!?」
――何となく、
本能的に嫌な予感はしてたんだ。
だから、
お土産は渡さなかったの。
こんな予感は……
……大抵、当たるから。
「俺、あの子結構タイプかも。」
――ほら、ね?