私の兄は、アイドルです。
そう言って部屋から出て行こうとするお兄ちゃんの声を聞いて
「学校……行かなきゃ……」
私は、少しふらつきながらも立ち上がろうとした。
今日の学校は……絶対行かなきゃ……!
けれど……
「ちょっ、ほんまもんのバカかお前!
んな熱あんのに行けるわけねぇだろうが!」
完全に立ち上がる直前、
少し慌てて戻ってきたお兄ちゃんに
ベッドに押し戻された。
ドキン
お兄ちゃんに触れられた場所が、何故か熱い。
ドキン
「ほら、横になれよ……」
そう言って、
優しくおでこに触れようとするから。
「……やっ」
ぱしんっ
――私は、お兄ちゃんの手を……――
――振り払った。
ドキン
「……音遠……?」
お兄ちゃんの少し驚いたような瞳には、
動揺してる自分が写る。
「……っ、分かったから……
…早く仕事行ってね!
私は大丈夫だから」
だから早く、ココから出てって?
無理矢理な笑顔を作ってまでそう言う私の願いが届いたのか、
お兄ちゃんは立ち上がりドアまで歩いていった。