私の兄は、アイドルです。
 



「うっせぇ黙れ。
こっちも重いんだよ。
駐車場に停めてる車に行くまで我慢しろや。

……また倒れて入院でもされたら……
……たまんねぇからな」




――その声色から、

本当に私を心配してるんだって気持ちが伝わってきたから。




「……ごめんなさい……」



私は俯き……
……素直に謝った。




……バカだ。


私って、
思ってたよりも

お兄ちゃんに心配掛けてるのかもしれないや。


思ってたよりも、

お兄ちゃんは私のコト
考えてくれてるんだね。



お姫様抱っこされたまま、煩い心臓を抑えつけながらギュッとお兄ちゃんの服を掴んだ。



その時
お兄ちゃんの腕がピクッと動いたような気がしたけど……


気のせいかな?



熱のせいで普段以上に真っ赤な顔を見られたくなくて、

私はお兄ちゃんの顔を見れなかった。




「っていうかお前、友達に挨拶してから帰れよ」


「えっ、まさか担がれたままで!?
恥ずかしいんだけど!
降ろして!」



……すっかり忘れそうでした、澪達のコト。



 
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