私の兄は、アイドルです。
 



美夜と沙那は……

中学の時の友達みたいに、私を利用したりしないよね……?





―――





『私達、親友だよね?
だからお願いっ!協力してくんないかな?』



『音遠んち行きたいな~!ナオトの部屋見てみたいし!』



『あっ、今日携帯忘れちゃったんだよね~……
音遠の携帯さぁ、ちょっと貸してくれない?』



『音遠ってさぁ、ホントいいよね?あんなかっこいいお兄ちゃんがいて。
ねぇ、お兄ちゃん私にくれない?』





―――





返信出来ていないメール画面を見つめ、目を瞑った。




――ダメ。


思い出すのは、
心の底の真っ黒な記憶ばかり。


誰も信じられない日々。


……引きずり込まれそうになる。




あと1つ、気になるのが……




「澪から……連絡ないなぁ……」




ナオトを好きなはずの澪から、何の連絡も無かった。




不思議で、心配で――




――少し、怖い。





「あーっ、そろそろご飯の下拵(したごしら)えでもするかぁっ!」



軽く伸びをした私は、
ベッドから起き上がってキッチンに向かおうとしたんだけど……





ピンポーン




鳴り響いた玄関のベルが、耳に入った。



 
< 142 / 297 >

この作品をシェア

pagetop