私の兄は、アイドルです。
 



このままだと、
何だか良くない雰囲気になりそう。


ダメだ、自分……


ココは……
我慢してでも『大嫌い』って言わないと、変に思われちゃう。



私は、ギュッと拳を握りしめ。


自分の気持ちとは正反対の言葉を紡ごうとしたんだけど――





「お兄ちゃん、なんて……

……だい、…きら…………!?」





――その瞬間。




私は


私は……





お兄ちゃんにグッと腕を引っ張られ――





――その唇を、奪われていた。





前の、私が寝てる時にされたキスとは……

ワケが違う。



だって、現に今
私達は意識がハッキリしてるんだから。




お兄ちゃんとの、キス。



この行為が、どんなに愚かな行為だなんて。


どんなに許されない行為だなんて。



……ちゃんと、痛いくらいに分かってた。




だけど……


……私は、お兄ちゃんを拒むことが出来なかった。





と同時に




私達2人が


もう


今までみたいな

兄妹に


戻れないっていう



重い重い『事実』が、



ココに確立した。





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