私の兄は、アイドルです。
背を向けたままだからお兄ちゃんの表情は見えないけど……
「お兄ちゃんは……
私の事、どう思ってるの……?」
震える声で。
だけど、精一杯の声で
尋ねた。
私の疑問は、これだけ。
するとお兄ちゃんは、
私の言葉を聞くなり
軽く嘲笑(あざわら)った。
「……はっ。……お前がソレ、聞く……?」
「…………え?」
――何?
「……いつもいつも、
残酷だよな、お前って。
いつまでもガキのままなのは……俺1人だけ、なんだな」
心なしか、お兄ちゃんの声が泣きそうに聞こえるのは……
……私の聞き間違いなのかな?
けど……
「……え?え?……さっぱり意味が分からないんだけど……」
……お兄ちゃんの言葉の意味が、さっぱり分からない……
一体何の事……?
何を言ってるの……?
「……ほら。
俺の言ってる意味が分かんないっつー事は、お前が綺麗さっぱり忘れてるっつー事だよ」
「……何の、話……?」
――ワケが分からない。
忘れてる?
……何を?