私の兄は、アイドルです。
「ははっ、俺マジでバカみてー……
……ゆっくり寝ろよ。
……………おやすみ」
「お兄ちゃん……っ!?」
お兄ちゃんは最後に軽く自嘲気味に笑い、
静かに部屋から出て行った。
――本気で真剣に、
さっぱりワケが分からない。
何の話をしてるのかすら、全然分からない。
お兄ちゃんが出て行った部屋の中。
私は、ゆっくりと自分の唇に触れた。
そして……
「……っ、…」
ポロポロと溢れ出す涙。
もう……
ワケ分かんないよ……
好き、
だけど兄妹。
だけど……
キス、した。
お兄ちゃんは……
……私のコト、好き?
好きであっても
嫌いであっても
もう、私達に
以前のような
平穏な関係は――
――戻らない。
涙の止め方も分からず、
泣き疲れて眠るまで
ずっとずっと泣き続けていた……
―――――
――――