私の兄は、アイドルです。
お兄ちゃん……
もう仕事にいっていないけど……
……朝ご飯作るために、
一体何時に起きたんだろう?
超低血圧なのにね。
思わず笑ってしまうけど。
それでも何だか
家にいるのは気まずくて……
「そろそろ準備するかぁ」
……仕方ないけど、
休んでばかりもいられない。
っていうか、風邪も治ったしね?
――私は覚悟を決めて、
3日ぶりに学校へ行った。
─────
「橘さん、この前ナオト見たよ~!何で今まで黙ってたの~?」
「あのさぁ、ナオト紹介してほしいんだけど」
「羨ましい!家行かせて!」
「音遠ちゃん、ナオトの事なんだけど……」
「はぁぁぁ……」
うざいっ!
うざすぎるっっ!!
一応、予想と覚悟はしてたんだけど……
学校に着くなり浴びせられる、クラスメートや他の生徒からの質問の嵐や羨望の眼差し。
友達ならまだしも、
喋った事すらない人達や先輩から親しげに声を掛けられるのは……
ハッキリ言って、良い気持ちではない。
校門から教室までの間に、一体何人の人に話し掛けられたのかも分からない。