私の兄は、アイドルです。
やっぱり……
情報って、回るのが早い。
……怖いな、ヒトって。
やっぱり私、誰も信じられなくなりそうだ。
久しぶりの教室に入り、
トボトボと自分の席に着くと
「音遠、久しぶりっ!
風邪大丈夫だった!?
それに……みんなめちゃくちゃだよね!音遠がナオトの妹だって分かった途端騒ぎ出してさ?」
「まぁ、騒ぐ気持ちも何となく分かるけど……
だって凄いもんね、ナオトの人気は。
音遠、災難だったね?
それよりも、体大丈夫?」
「平気だよ……
ありがとう、美夜、沙那。それにこういうの、慣れてるからね……」
美夜と沙那が、私の席まで駆け寄ってきてくれた。
2人とも……
心配してくれてありがとう。
だけど……
2人を信じるのが怖い……
――だけど。
にっこりと愛想笑いをした私に返ってきたのは、
いつも通りの2人の会話だった。
「にしてもさー、ビックリしたよ!
音遠、今まで完璧に隠してたんだねぇ!やるねぇ!」
「本当本当!始業式の日に校門でBIG4が乗ってる車見た瞬間、私と沙那なんて声を揃えて叫んだんだよっ?」