私の兄は、アイドルです。
 



ケラケラと笑いながら言う美夜に、つられて笑う沙那。



……あぁ……、

この2人は私が『ナオト』の妹だって知っても、
今まで通りに接してくれる。





「ありがとう……2人とも……」




私は、美夜と沙那に向かって心から微笑んだ。



ありがとう、

2人とも。



私、2人なら信じられるよ。





──そうこうしてる内に、

私は“ある事”が気になり始めた。





「あっ、ねぇ……澪は?」




――“澪が、いない”。



おかしいな……

いつもなら私達4人の中でも
一番早く登校してるハズなのに。




「あっ……実は、澪はね……?」



少し言いにくそうな顔をした美夜が、
そんな私の疑問に答えてくれようとしたんだけど……





「あっ、橘さんだぁ!」

「橘さん、ナオトの妹だって本当!?」



見たことあるかも、程度の同学年の子が2人、
私の元までやってきた。





――この時の私は、



まさかこの2人から

あんなに重要な情報を得るなんて……



――思っても、

みなかった。





 
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