私の兄は、アイドルです。
「……約束……?」
その女子が、意味深な事を言ってきたんだ。
――小さな頃の約束?
何のコトだろ……?
俯いて必死で考え込む私
「覚えてないのっ?橘さん!
あんなに可愛くてロマンチックな約束なのに~!」
ハイテンションな女子は、
真っ赤な顔をしながら
机をバンバンと叩いて言ってきた。
っていうか
ろ、ロマンチック!?
一体どんな約束だよソレ!
「……何?何が?何のコト?」
意味分からないMAXなんですけど!
っていうかさっきから、
ワケ分かんなさすぎて
頭こんがらがるんですけど!
……もう、お手上げです。
そんな私のポカーンとアホみたいな顔を見て、
気の毒にでも思ったんだろうか。
「本当に覚えてないんだ!?勿体無い!
でも子供の頃の約束みたいだし、仕方ないよね」
「でも折角だし、教えてあげるね!
あのねっ?それは……」
ハイテンション2人組は、
その『約束』の内容を教えてくれようとしたんだけど……
ガラッ
「――おはよ」
「あ、澪……」
……教室に入ってきた澪の声で、最後まで聞けなかった。