私の兄は、アイドルです。
 



いつもと変わらない様子で教室に入ってくる澪。



そしてニコニコと笑いながら、美夜と沙那の側にやってきた。




「おはよー澪!
元気そうで良かったぁ!」


「澪も昨日風邪引いて休んでたけど、大丈夫だった?」



美夜と沙那が、澪に向かって心配そうに尋ねていた。




え……

澪、昨日学校休んでたの……?





でも


確か昨日、
ウチに来た澪は

制服を着てたハズ……




――おかしい。






「ねぇ、澪」

「ねぇ、音遠?
トイレ行かないっ?」



私が疑問を尋ねようとした瞬間、

いきなり澪からトイレへのお誘いがあり。




「え……うん……」



有無を言わさない笑顔で
にっこりと微笑む澪を見て。





胸の奥が、ザワザワとざわつき始める。



どうしてだろう……



……嫌な予感しか、しないの。






「じゃあ、行こっか?」



そして
半ば強引に腕を引っ張られ……


……私達は、トイレへ向かった。





───





トイレを済ませた後。



…………無言。



私達2人しかいない女子トイレという空間は、
気まずいくらいに無言で。



 
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