私の兄は、アイドルです。
完璧に化粧をし終わった澪は……
私の顔を、真正面から見た。
そして、暴言を吐きながらにっこりと笑ったんだ……
「……騙し続けてた、って……」
どうして、そんな事言うの……?
鼻の奥がツンとなり……
少し、瞳が潤む。
「だって、そうじゃん。
旅行の夜に私がナオトのコト本気で好きだってカミングアウトした時だって、
次の日に撮影でナオトが私のウチワを借りに来た時だって。
2人が兄妹だって事、
教えてくれなかったもんね?」
「っそれは……っ」
……それは、中学時代の自分のトラウマのせい。
弱い……自分のせい。
信じてた友達に裏切られて、
今みたいに騒ぎになるのが……
怖かったから。
とてもとても、
怖かったから。
……だけど、
そんな私の過去なんて
澪は知るワケもない。
「……普通さぁ?
友達の恋愛って、協力してくれるモンじゃないの?」
わざとらしく大きな溜め息を吐いた澪は
ギロリと私を……睨んだ。
「そう……だけどねっ」
「私のコト見て、笑ってたんでしょ?」
「違っ……」