私の兄は、アイドルです。
「結局、音遠は私達を信じてなかったんだね」
――畳み掛けるように、
言葉を浴びせる澪。
その言葉が……
……心に、グサリと刺さった。
涙が、
頬を伝うのを感じた。
だけど
そんな私の涙を見て
鼻で笑った澪は。
「けど、音遠のお陰かな。見て?コレ」
そう言って……
携帯の画面を、私に見せつけてきた。
その画面に映ってたのは
紛れもなく……
「……それっ、まさか……
お兄ちゃんの……アドレス……!?」
簡単で分かり易い、
誕生日と名前をもじった
お兄ちゃんのアドレスは。
一目見て、すぐに分かった。
だけどでも
どうして?
どうして澪が
知ってるの……?
「昨日、音遠が部屋に戻った後……ナオトにね?
“音遠と仲良くしてくれて、ありがとう”って。
“もし学校で音遠に何かあったら、ココに連絡してくれ”って。
アドレス、貰っちゃった」
「え……」
本気で幸せそうに微笑んだ澪の表情は、
この事が本当の事なんだって物語っていた。