私の兄は、アイドルです。
 




《昔、母は仕事でいつも帰りが遅かったんです。

だから、家には俺と妹の二人きりで。

まぁ、妹も小さかったから、いつも俺が寝かしつけてたんですよね。》





――そう。

小さい頃は、お兄ちゃんがお母さん代わりだった。


女手一つで働くお母さんは、あまり家にはいなくって。




ご飯に遊び、寝る時も。


お兄ちゃんはいつも私の面倒をみてくれて、

私はお兄ちゃんがお母さんよりも大好きだった。





《ある日、流星群が沢山流れるって夜があって。

俺達2人、頑張って夜更かしして起きてたんです。》





――あ、そんな事……
あったような……



確か、眠いけど流れ星が見たいとぐずる私を、

寝ないようにお兄ちゃんが必死で起こしてくれてたような……





《目の前に流れる流星群に……妹は、

「お兄ちゃんがカッコ良くなりますように」

そうお願いしてました。

ははっ、きっとその時の俺って、妹からしたらあんまりカッコ良くなかったんでしょうね?》





――――ドキン。



頭の片隅から、記憶が溢れ出す。




 
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