私の兄は、アイドルです。
「あれ?音遠、顔色悪いよ?大丈夫~?」
「大丈夫、だよ……」
「そう?良かった」
……澪はナオトが好きだから……
本当は家になんて
呼びたくないけど……
「じゃ、帰ろっか」
「う、ん……」
――弱い私は……逆らえなかった。
断る理由なんて、
何も無かったんだ。
─────
「へー、ここが音遠の部屋なんだ。なんかあっさりしてるね」
「……そうかな?」
私達は、家に着き。
まるで自分の部屋のようにズカズカと私の部屋に踏み込む澪に、
少しだけイラっとする。
まぁ……いいけどさ……
すると澪は、
ガサガサと勝手に部屋を物色しだし……
「あっ、アルバムはっけーん!」
……本棚に並んだ、
家族のアルバムを発見した。
っていうかさ……
澪?
普通、初めて入った部屋でさ?
そこまで馴れ馴れしく
過ごせるもんなの?
「キャー!もしかしてこれ、ナオトだよねっ!?
ねぇっ、この写真ちょうだい!?」
アルバムをパラパラとめくった澪は、
お兄ちゃんの小学生の時の写真を見つけて
目をキラキラさせた。