私の兄は、アイドルです。
 



クッキーを持ってくる約束なんて、
また次に会う口実のようなモノ。



……なんか……

澪の行動力が凄くって、
羨ましいな。



ただただジッと、

楽しそうな2人を見つめていた。




なのに。



どうしてアナタは、

そんな私に気付いちゃうの?





「……どーした、音遠。
んな不細工な顔して見つめてきやがって」




プリンを食べ終わり、

楽しそうにニヤニヤ笑いながら
組んでいた長い足をスッと解いたお兄ちゃんは。





「……あー、もしかして音遠お前……

俺と澪が仲良いから……
妬いてんのか?」





――ドキン。




優しくって、

でも挑戦的で。



今の私のイライラした気持ちなんて

全部お見通しな視線で……



……真っ直ぐに、

私を見つめてきた。




――ただ見つめられただけなのに――



私の心臓は、ウザいくらいに鼓動する。





「はぁっ!?
ばっ、バカじゃないのっ!?
んなワケないっつーの!」




ホント、バカじゃないの!?


澪がいるのに……何言ってんのよ!



慌てて否定した私に返ってきたのは、
またまたニヤニヤ顔のバカ兄の言葉。




 
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