私の兄は、アイドルです。
 





「そうか?お前は昔っから俺の事大好きだからなぁ」





――意地悪なその声が

意地悪なその表情が。



めちゃくちゃ腹立つけど……


……めちゃくちゃドキドキする。




ずるい。


私を……試してるのか
困らせてるのかは、

分からない。



……けど、ダメだよお兄ちゃん。


私……耐えられるか分からないから。





「あは、ホントだっ!
音遠急にどうしたの?
そんな泣きそうな顔して」



「え……?
別に……何もないよ……?」




ほら……
やっぱり……


澪に泣きそうな顔、
バレちゃうじゃん……




けど……


そんな私を見たお兄ちゃんは、

別に慌てるでもなく
綺麗な顔で妖しくニヤリと笑うと

バカみたいな事を言ってきた。





「音遠?安心しろ。
……俺はお前が大好きだからな」




「っ……!」




一体何考えてんのよ……!?



嫌でも顔が真っ赤になる。

本気でバカじゃないの!?




「あははっ、真っ赤だ!
音遠ってば可愛いね?」




 
< 207 / 297 >

この作品をシェア

pagetop