私の兄は、アイドルです。
……私、幸せだよ。
お兄ちゃんの優しさが……
凄く凄く、幸せだ。
「何、どうした音遠。
そんなに可愛い顔しちゃってさ?」
抱き付いたハズの私は、
いつの間にかお兄ちゃんに抱き締められていて。
見上げると……
思わず目を背けたくなるくらいに
とびきりカッコいいお兄ちゃんの顔があって……
……視線が、絡み合う。
「来月のスケジュール……見ちゃったんだけど」
思わず白状すると
「……ん?マジで?
なら……オフの日見たよな?」
お兄ちゃんは、綺麗すぎる顔でニヤリと笑った。
ヤバい……
その顔、反則だよ……
その笑顔の威力に負けそうになる。
さっき見たお兄ちゃんのスケジュール表には、
1日だけ空欄があって。
つまりはオフの日なんだけど……
そのオフの日っていうのが……
「うん……来月の17日……。
私の……誕生日……」
「頑張ってさ、休み取ったんだ。
音遠の誕生日は、2人で1日パーティーしような」
「……っ、……」
……来月の、17日は。
私の16歳の誕生日で。