私の兄は、アイドルです。
 



まさか……


忙しすぎる仕事を休んでくれるなんて。


そこまで私のコトを考えてくれてたんだって思うと……





「……何泣いてんの。
さっきも泣きそうな顔しちゃってさ?」




――涙が、ポロポロと頬を伝った。





「だって……
嬉しかったから……っ」



涙を流しながら、

きっと目は真っ赤で不細工だけど
お兄ちゃんを見ると。





「……本当に……誘ってんの?お前」




お兄ちゃんは妖しげな笑みでそう言うと、
私の顎をクイっと上げた。



っていうか顔が……
近いし熱い……!

絶対今、真っ赤だ……!




「違っ……!

っていうかさっきは……
お兄ちゃんが……変な事言うから……っ」




「変な事?

……お前が澪に妬いてたって事?
それとも……俺の事を好きって事?

それとも……
俺がお前を好きだって事?」




必死な私に対して、

やたら余裕なお兄ちゃんは。



なんだか強気でSで、

でもその妖艶な瞳にドキドキする。




「っ、全部だよ……っ!
澪がいたのに……そんな事言うなんて……」




 
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