私の兄は、アイドルです。
少し嬉しいけど、なんだか残念。
ちくしょうバカ兄!
そんな私がしょんぼりしていると、春サンは肩をポンと叩き。
「ほらほらっ、だから俺らも何か食べようぜ?」
そう言って、キラッキラの笑顔で微笑んだんだ。
本当に優しいね?
私が落ち込んでるの、
気付いてくれたのかなぁ?
「うんっ!」
元気に返事したその時、
歩行者信号が青に変わった。
横断歩道を歩き出した私達なんだけど……
――まさか、見られてるとは思ってもみなかったんだ。
「うわっ」
「ほら、音遠!危なっかしいからさ、手!」
横断歩道で(しかも何も無い所で)転けそうになった私に、
そう言いながら
半分強引に手を繋いできたから。
私は、顔が真っ赤になった。
「ははっ、何だよっ、そんなに照れちゃって。
音遠は初(うぶ)なんだなーっ!」
「なっ……春サン!?」
からかわれてるって、
ちゃんと分かってたの。
でも、やっぱり一応女の子だしさ?
繋いだ手の温かさに、
顔も思わず真っ赤になったんだ。
でもね?
……でも……