私の兄は、アイドルです。
 



少し嬉しいけど、なんだか残念。


ちくしょうバカ兄!



そんな私がしょんぼりしていると、春サンは肩をポンと叩き。





「ほらほらっ、だから俺らも何か食べようぜ?」




そう言って、キラッキラの笑顔で微笑んだんだ。



本当に優しいね?

私が落ち込んでるの、
気付いてくれたのかなぁ?




「うんっ!」



元気に返事したその時、
歩行者信号が青に変わった。



横断歩道を歩き出した私達なんだけど……





――まさか、見られてるとは思ってもみなかったんだ。




「うわっ」



「ほら、音遠!危なっかしいからさ、手!」



横断歩道で(しかも何も無い所で)転けそうになった私に、

そう言いながら
半分強引に手を繋いできたから。



私は、顔が真っ赤になった。




「ははっ、何だよっ、そんなに照れちゃって。
音遠は初(うぶ)なんだなーっ!」



「なっ……春サン!?」



からかわれてるって、
ちゃんと分かってたの。



でも、やっぱり一応女の子だしさ?


繋いだ手の温かさに、


顔も思わず真っ赤になったんだ。



でもね?


……でも……




 
< 228 / 297 >

この作品をシェア

pagetop