私の兄は、アイドルです。
 



……お兄ちゃんに対して感じるような、

苦しいくらいの胸のドキドキは……




……春サンに対しては、
全く無かったんだ。







――そうして、美味しいパスタをご馳走になった私は。

なんとマンションまで送り届けてもらい、
春サンと別れた。




はー……

買い物は楽しかったけど……
なんだか眠いな……



家に帰って時計を見ると、9時を回ってて。


そのままベッドに直行してゆっくりしたいけど……



明日の朝ご飯の下拵えに、掃除に洗濯。

やらなきゃいけない事がまだ残ってたから。


重たい瞼を擦りながら、
私は家事をこなした。





そして――




「あっ、おかえりっ」



「……ただいま」



お兄ちゃんが、帰ってきた。



時計を見ると、午後10時すぎ。

私は、リビングで洗濯物を畳んでたんだ。




「遅かったね?」



「あぁ……」



「ご飯いらないんでしょ?」



「……まぁな……」




ダルそうにリビングに入ってきて
そう言ったお兄ちゃんは……




「もう寝るから」



「えっ、ちょ……っ!」




パタン。




――寝に行った。汗。




 
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