私の兄は、アイドルです。
「はぁ……
……急じゃねぇよ。
前々から言われてたんだ」
──また、小さな溜め息を吐いたんだ……
ねぇ、お兄ちゃん。
お兄ちゃんさ、
気付いてた?
昔っからね?
都合の悪いときは……
そうやって、スグに溜め息を吐くんだよ?
少し、胸が痛くなる。
けど、聞きたいのはそんな事じゃないの。
聞きたいのは……
「そうだったんだ……
……じゃあ……
どうして私には、相談してくれなかったの……?」
どうして
私には
相談してくれなかったの?
「は?何でわざわざお前に相談しなくちゃなんねぇの?
何のためにだよ?」
面倒くさそうに答えられた
その言葉に──
──軽く、突き放された気がした。
……これでもね?
僅かに、期待を込めて尋ねたんだよ?
“お前には心配掛けたくなかったから”
とか
“大したことじゃないから”
とか、さ?
ちょっとだけど、
そんな風に私を気遣ってくれる言葉を返してくれるかなって。
僅かに、期待してたんだ。