私の兄は、アイドルです。
 



何?
急に……




「……………好き……」



モチロン
好き、だよ?


頭の中が澪に対する嫉妬心でいっぱいになるくらい、

私はアナタが好きだよ?



……言葉にするって、

やっぱり勇気がいるし
恥ずかしいや。


顔を真っ赤にしながら
ポツリ、呟いた私。



……っていうか、
絶対聞こえてたハズなのに。




「聞こえねぇ」



冷たい視線と少し威圧的な声色で、
そう言ったお兄ちゃんは。


私の顎に伝った涙を
ツイッ、と拭うと……


再度言葉を求めてきた。




まるで体全てを射抜かれてるような
お兄ちゃんの強い視線に、

胸の奥が灼けるように熱くなる。





「……好きだよ…」



好き、だよ。



ジッ……とお兄ちゃんを見つめながら

さっきよりも少し大きな声で、私はハッキリと答えた。




だけど……




「……本当か?

ただ自分のモンを盗られんのが嫌なだけなんじゃねぇの?
音遠は欲張りだからな」





──どうしてそんなに


冷たい事を言うんだろう──




また一筋、涙が流れた。




 
< 242 / 297 >

この作品をシェア

pagetop