私の兄は、アイドルです。
何?
急に……
「……………好き……」
モチロン
好き、だよ?
頭の中が澪に対する嫉妬心でいっぱいになるくらい、
私はアナタが好きだよ?
……言葉にするって、
やっぱり勇気がいるし
恥ずかしいや。
顔を真っ赤にしながら
ポツリ、呟いた私。
……っていうか、
絶対聞こえてたハズなのに。
「聞こえねぇ」
冷たい視線と少し威圧的な声色で、
そう言ったお兄ちゃんは。
私の顎に伝った涙を
ツイッ、と拭うと……
再度言葉を求めてきた。
まるで体全てを射抜かれてるような
お兄ちゃんの強い視線に、
胸の奥が灼けるように熱くなる。
「……好きだよ…」
好き、だよ。
ジッ……とお兄ちゃんを見つめながら
さっきよりも少し大きな声で、私はハッキリと答えた。
だけど……
「……本当か?
ただ自分のモンを盗られんのが嫌なだけなんじゃねぇの?
音遠は欲張りだからな」
──どうしてそんなに
冷たい事を言うんだろう──
また一筋、涙が流れた。