私の兄は、アイドルです。
 



そして……


……怒りが沸々と湧き上げてきた。




「……バカじゃないのっ!?
お兄ちゃんを好きって気持ち……っ
……簡単な気持ちじゃ言えないよ!」




──そうだよ。


そこまで子供じゃないもん、私。




ずっと『家族』として育った『実の兄』を好きだなんて、

軽い気持ちじゃ絶対に言えないんだから。



今までの関係には戻れないっていう不安とか

お兄ちゃんの反応への不安とか


……お母さんへの、申し訳ない気持ちとか。




これでもね?


色んな事……悩んだんだよ?



色んな……


重くって考えるのも辛くなるような事、

たくさんたくさん考えて悩んで……



……でもやっぱり、好きだから……


……どうしようもないくらいに……好きだから……



だから、言ったんだよ?





止まらない涙は、

私の気持ちと同じなんだろうか。



キッとお兄ちゃんを睨み付けた。




んだけど……



熱くなってる私とは正反対の様子で、

まるで冷静なお兄ちゃんは。





「へぇ……
…………なら……
……足、開けよ」



「え?……やっ!」




 
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