私の兄は、アイドルです。
「しかしさぁ、とんでもなく不器用な男だよな?お前って」
ビールを一口飲んだ所で、
豊が俺を見て気の毒そうにこう言った。
「……っせぇな、豊。
仕方ねぇだろうが……」
ソファに深く座りながら
そっと目を閉じ、
満タンに入ったビールの缶をギュッと握りしめる。
不器用……
そんな事……わざわざ言われなくてもなぁ、
痛いくらいに分かってんだよ……!
──豊は、全部知ってるから。
……全部、言ったから。
俺がBIG4を抜けてソロ活動する理由も、
……俺が、音遠に手を出してまで……
わざわざ遠ざけた理由も。
「……ははっ。
何、超マイペースで俺様直人のクセに、人並みに落ち込んでんのか?」
「豊テメェ……黙れば?」
俺が目を閉じたのを見ながら、豊はケラケラ笑う。
んだよ、悪いか。
俺だってなぁ……
落ち込む時もあるんだよ。
特に、……音遠の事に関しては。
豊をギロッと睨むと。
ふ、と真剣な表情になった豊が、話し出した。
「お前も気の毒な奴だよな?
タイミングが悪いっつーか」