私の兄は、アイドルです。
きっと、俺と気持ちが通じ合ってからも毎日泣いてたと思うんだ。
音遠はそんな子だから。
……近親相姦なんて、
良い事なんて1つも無い。
世間のルールに背くって事は、
並大抵の辛さじゃないんだ。
これからもこの関係を
続けていくのなら、
周りの目を気にして
母さんに大きな罪悪感を感じて
そうやって、毎日怯えながら暮らしていかなきゃならない。
反対に、この恋を終わらせたとしても……
後悔と
後ろめたたさが
一生肩にのしかかる。
そして……
『兄妹』という関係は、
死ぬまで一生変わらない。
「……っつかさ、直人……
お前さ、春に遠慮すんのはいいけど……
肝心の音遠ちゃんの気持ち、考えろよ……?」
音遠の気持ち、か……
きっと、俺が無理やり手を出そうとした時から……
音遠は、俺の事怖がってると思う。
傷付いたと思う。
だから……
……春に、慰めてもらえばいい。
慰めてもらって……
……俺なんかよりも、
春を好きになればいい。