私の兄は、アイドルです。
「でもさ?優希と豊が行けないらしくて……」
「えっ?豊さんも優希さんも行けないんだ!
残念だね?」
何だか言いづらそうに言った春さん。
みんな……
超人気のアイドルだもんね。
そう簡単に、休めないよね……
「あいつら、余ったチケットくれたからさ。
だからさ、音遠。
俺と一緒にコンサート行かねぇか?」
「春さんと一緒に?
……うん、行く!
春さんと遊べるの、嬉しいしっ!」
春さんのお誘いに、
私は満面の笑みでニコッと微笑んでOKした。
──実は、さ?
チケット……自力で入手しようとしたんだよね。
気まずいままのお兄ちゃんには、
なんだか言いづらくって。
けど、やっぱり入手困難で。
何回も何回も電話したし
何回も何回もネットを触ったんだけど……
……結局は、ダメだった。
明日はきっと、
1人で部屋で塞ぎ込んでるや……
だなんて落ち込んでた所に、
春さんのこのお誘い。
内心……
心が、跳ね上がった。