私の兄は、アイドルです。
春さん。
やっぱり春さんは
とても、優しいね?
「全然……そんなコトないよ!
春さんはずっと、大切な友達だよっ!」
声を大きくして、力説する。
春さんはずっと
大切で大好きで
めちゃくちゃ素敵な
友達だよ?
「……サンキュな、音遠」
クルリと振り向き、
私に向けられたその笑顔を見て。
不思議と涙は、ピタリと止まり。
「ありがとう、春さん……」
こちらこそ……
気を遣ってくれて
本当にありがとう……
告白されたのを断っちゃった私に、
気を遣ってくれたんだよね?
私は、心からお礼を言ったんだ。
──と、その時。
「ねぇっ、あれってもしかして……」
「ホントだっ!BIG4のハルじゃないっ!?」
表通りから、ザワザワと女の人達の騒ぎ声が聞こえてきた。
表通りからは少し逸れたこの裏通り。
まさか……
春さんの存在……
バレちゃいましたっ!?
「……まず、バレたかっ?」
何でだろうと焦ってる春さん。
っていうか
「わーっ、春さん帽子被って!?」
春さん帽子被ってないじゃん!