私の兄は、アイドルです。
★stage.20
─────
────
そして、翌日。
時間でいうと、丁度正午前。
考えすぎて正直あんまり眠れなかった私は、
欠伸をかみ殺しながらマンション前で春さんを待っていた。
10月ももう半ばなのに、温かい今日。
それに休日だからか、
道を歩く人が結構いてる。
はー……
みんな平和そうだね……
羨ましいや。
そんな事を考えながら
ポケットに手を入れると……
お兄ちゃんが置いていった、“ある物”の感触がして。
はぁ……
また、胸が痛む。
お兄ちゃんは一体
何のタメにこれを?
そんな時
ブロロロロッ
けたたましい程のマフラーの音がどこからともなく聞こえてきて、
キイッというブレーキ音と共に
私のすぐ脇で停まった。
手入れされた真っ黒の大きなバイクに、
ピカピカのヘルメット。
まさか……これは……
微かによぎる思い。
バイクに跨ったその人は、
爽やかに被っていたヘルメットを外した。
「よぉ、音遠!待たせたか?」
「春さんっ!」
やっぱり!