私の兄は、アイドルです。
 



オープニングにダンスナンバーを1曲終えたお兄ちゃんは、

休む暇なく2曲目に突入した。




私は……

目が、逸らせない。



ヤバい。


ヤバいよ“ナオト”。




「どうだ?音遠。
音遠の兄貴……すげぇだろっ?」



ポケッとしてる私の頭をポンポンと叩き、

春さんがニコッと微笑みながら話し掛けてくれたけど。




「うん……凄い……」



もう、『凄い』としか返せない。





ヤバいね

お兄ちゃん



格好良すぎるんだけど。




ねぇ


こんなに


輝いてて
眩しくって

カッコイイお兄ちゃん見たの、


15年間生きてきて



初めてかもしんない。




コンサートって……



こんなに、

お兄ちゃんがキラキラしてるんだね……




これが、


お兄ちゃんの
『仕事』
なんだね……





――そうしてぶっ通しで3曲歌い踊ったお兄ちゃんは、

曲が終わるとマイクを持って話し出した。




『みんなっ、今日は来てくれてありがとう!』



「「「「「キャーッッ!」」」」」



『最高のコンサートにするから、最後まで楽しんでってくれよな!』



「「「「「キャーッッ!」」」」」




 
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