私の兄は、アイドルです。
お兄ちゃんが喋る度、
会場全体に湧き上がる歓声。
中には感極まって泣いてる子もいる。
凄い。
凄いな。
これが“アイドル”なんだね……
――……私は、
コンサートが終盤に差し掛かるまで……
ずっとずっと、
まばたきも忘れて
お兄ちゃんを……
“ナオト”を、見つめていた。
そして……
『今日は本当に最高のコンサートだっ!
サンキューな、みんなっ!』
「「「「「キャーッッ!」」」」」
締めの言葉を語り出すお兄ちゃんに、
物凄く名残惜しそうなファン達。
続けてお兄ちゃんは語る。
んだけど……
『忘れられない日になったよ!
本当にありがとう……』
バーンッ!
『BIG4のメンバーが、駆けつけてやったぜーっ!』
『たぜー……』
お兄ちゃんの語りを遮って、
けたたましい火柱と共に
ステージ脇から豊さんと優希さんが飛び出してきた。
えっ?えっ?
豊さんと優希さん……
今日は用事あったんじゃないのっ?
頭にクエスチョンマークを浮かべた私。