私の兄は、アイドルです。
 




……本当は、


淋しいよって。

抱き締めてほしいって。



そんな贅沢な事、
思ってしまうけど。





「直人……っ
好き、だよ……っ」





あなたが、好きです。





何度も何度も、

諦めようとしたの。




けど、やっぱりダメ。





困らせるかもしれない


お互いに
マイナスにしかならないけど





……本当に、大好きなんです。





「直人っ……好きだよっ……大好き……っ!」





私は、

声が枯れるくらいに
ただガムシャラに叫ぶけど。





この声がお兄ちゃんに
届くのなら


どんなにいいだろうって



胸の奥で、強く強く願いながら……


何回も何回も叫ぶけど。




あの、

遠い遠いステージまで

この声が届く事は……






……一体、あるのだろうか……――





―――――


 
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