私の兄は、アイドルです。
いつものように
私の有無を言わさずに
膝に頭を置いた優希さんは
「……うん、よし。
……オヤスミ……」
頭の位置をベスポジにして、スヤスヤと眠りについた。
……寝付くまでの時間、約3秒。
……相変わらずマイペースだね優希さん……
見事に毒気を抜かれた私は、お兄ちゃんに対する苛立ちも消え去っていた。
「はぁ……ったく、優希はいつもいつも……」
溜め息を吐くお兄ちゃん。
そうなのだ。
優希さんは、私が働き始めてから毎日毎日
時間さえあれば私の膝の上で眠っている。
まともに喋ってる所なんて見たことない。
っていうか……
仕事大丈夫なの?
この人……
ちょっとだけ心配になった。
「ま、明日はホール集合だからな!
音遠ちゃん?
明日は夜更かし覚悟で来てな!」
夜更かし覚悟、か……
頑張らなきゃね!
豊さんの言葉に頷いた私は、また1日バタバタと働いた……
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