私の兄は、アイドルです。
「……悪かったな、コキ使いまくって」
「いいよ、仕事だし」
珍しくしおらしいお兄ちゃんにちょっと驚きつつ、そう返すと
ガラッとドアが開いた。(汗)
「なななな、ばばばばバカじゃないのっ!?
何で入ってきてんのよ!!
ちょっと、早く出て行ってよ!!
目腐りたいの!?」
信じらんない!
何で平然と入ってきてんのよ!?
近くにあったタオルで急いで下着姿を隠した。
変態兄!!
そんな慌てふためく私の前にスッときたお兄ちゃんは
「……今度から、調子が悪かったらスグ言えよ?」
そう言いながら、グイッと顔を私の目の前までやった。
ちょっ、何でそんな瞳で私を見るのよ……
近くで見ると、あのウザい兄でもドキっとしてしまう。
非の打ち所が無い端正な顔立ちに、
綺麗な茶色い瞳。
しかもしかも
「音遠……」
「え……?
お兄……ちゃん?」
低くて色気を帯びた声で名前を囁かれ、
私の思考能力はガクンと低下した。